中長期の技術開発戦略を描くこと――。
それが、この部門の本来の主な業務です。
業務に携わる中で、開発テーマは、大きく3つに分かれることを知りました。
1つ目は、策定した技術開発戦略ロードマップに基づく開発。
一番王道の形ですが、実は、こうしたテーマはそれほど多くありませんでした。
2つ目は、事業部など現場の直近の困りごとを解決するための開発です。
これは突如としてやってきて、慌ただしくスタートします。
当初は短期的な対応のはずだったものが、困りごとの連鎖によって、気がつけば長く続いていることも少なくありません。
3つ目は、技術者自身が「やりたいこと」をボトムアップで提案し、スタートする開発です。
技術開発を重視し、経営的な余力もある会社では、若手技術者のモチベーション向上や育成の観点から、実はこうしたテーマもかなり多く存在していました。
当然ですが、もし今から新しい会社を立ち上げるのであれば、ゼロから技術開発戦略を描くことができます。
しかし実際には、すでに数多くの開発テーマが動いています。
しかも、それぞれ目的も用途も異なります。
そこには、
「大きな戦略を描き、それを開発テーマへ落とし込み、開発部門を先導する!」
――そんなキラキラした姿は、ありませんでした。
実際には、
- 目的も用途も異なる開発テーマの中から、共通する技術要素や、連携できそうなものを見つけ出し、
- その軸で複数のテーマを一本の道として整理できないか頭を悩ませ、
- 全てのテーマを置けるよう、道を何本か作って、
- 既存の開発テーマを、まるでパッチワークのようにつなぎ合わせる。
- さらに、その道が全社方針へつながるよう方向を修正し、
- そして最後に、その道の上へ、自分たちなりのオリジナリティを持った新規テーマを少しだけ加える――
そんな仕事でした。
高級フレンチの創作シェフというより、冷蔵庫に残っている食材を使って、なんとか美味しい料理を作る、そんなイメージなのです。
技術開発戦略とは、すでに持っている技術をどう捉えるか。
そして、その切り口によって、別用途や他技術とどう結びつけるか。
さらに、その先へ、どの方向に伸ばしていくか――。
そんなことを考え続ける仕事なのだと、私はこの業務を通じて実感しました。


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