特許の怖さを知った瞬間(1)

インクジェットヘッドの開発が進む中、会社ではインクジェットヘッドを用いた新たなプリンターの企画が進められていました。
会社は電子写真方式の複写機を製造・販売していましたが、インクジェット製品は未知の領域でした。

新規参入にあたり、インクジェット領域における特許調査を行うことになりました。

2000年代前半の当時は、1990年以前の特許文献のデジタル化がまだ十分ではなく、私たちは大阪府立夕陽丘図書館に所蔵されている特許公報の分厚い本を、「手めくり」で調査することになりました。

インクジェットの領域には、特許権を武器にして複写機ビジネスを成功させた先行企業も参入しており、さらにその他の競合他社も含め、各社の特許網とクロスライセンスが複雑に入り組んでいました。

確認しなければならない特許は、国内登録特許だけでも数千件以上。外国出願まで含めると、1万件に及びました。

私たちは数週間の間、毎日夕陽丘図書館に通い、特許公報を読みふけっては、侵害の恐れがある特許のピックアップに明け暮れました。

そして、新規参入するうえで、どうしても対応しなければならない他社特許が10件ほど見つかりました。


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