今の私なら、あのころの私に、こう伝えたいです。
・自分たちの強みを強化し、それを市場規模の大きい領域へ適用する――。
これは王道の戦略です。ただ、その市場の「どのニーズ」を狙うのかまで考えたほうが良い。そこを曖昧にすると、本当に狙うべき市場規模を見誤ってしまう。
・新しい技術を用いた新製品を、新たな顧客へ販売する戦略は、とても難易度が 高い。しかも、それを少人数で進めるのはかなり厳しい。「技術」「顧客」「販売チャネル」のどれかを既存資産として活用するか、あるいは経営層を説得して、もっと大きなテーマとして取り組んだほうが良い。
・パートナー企業経由だけでは、最終顧客の本当の想いや困り事は見えにくい。最終顧客と直接つながれるよう、パートナー企業へ積極的に働きかけたほうが良い。
・パートナー企業にとって、新工法は諸刃の剣でもある。それまでの強みやビジネスモデルを壊してしまう可能性があるからだ。開発段階や初期導入には協力的でも、その後の本格展開には慎重になることもある。場合によっては、競合への流出防止や囲い込みを目的として連携している可能性も、考慮したほうが良い。
・既存工法は、長年使われてきた「枯れた技術」だ。コストダウンも進み、設備償却も終わっていることが多い。そこへ新規工法が真正面から代替を狙っても、簡単には勝てない。だからこそ、自分たちの工法の強みを見極め、顧客の困り事を深く理解し、高付加価値領域から展開したほうが良い。
もちろん、こうした視点で見直したとしても、新規事業が成功したとは限りません。それほど、新規事業の立ち上げは難しいものです。
ただ私は、この経験を通じて、多面的な視点で振り返り、何度も仮説を見直し続けることが、成功確率を少しずつ高めていく――。そんなことを学びました。

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