会社が弱っていく時(1)

会社に入って15年余りが経っていました。

私が入社してから、会社の業績は右肩上がりで推移していました。
その成長をけん引していたのは、設備償却費などの固定費が大きい事業です。

固定費の大きい事業は、売上が伸び始めると、利益も大きく伸びやすくなります。
その一方で、大規模な設備投資を行ったにもかかわらず売上が伸びなければ、大きな損失を抱えることになります。

順調だった売上は、需給バランスの変化によって急激に減少へ転じ、会社は大きな損失を計上しました。

「給与は決して高くない。けれど、不況であっても全員の雇用は守る」

そんなことを信条としてきた会社でした。
しかし、損失を埋め合わせるために銀行から融資を受けるには、経営体質の改善が求められました。

そして、1回目の希望退職募集が始まったのです。

当時、私は39歳でした。

開発チームをまとめる立場にあり、メンバーの半数以上は、私より年上の先輩方でした。

希望退職の条件は「40歳以上」。

私は、ぎりぎり対象外の年齢でした。

条件が発表されるまで、

「39歳にもなった自分が、他の会社で本当に役に立つのだろうか……」

そんな不安を抱えていたことを、今でも覚えています。

その後、チームの先輩方が、一人ひとり部長に呼ばれ、毎日のように面談が行われました。先輩方は、私が感じていた不安を、もっと現実的なものとして抱えておられたのだと思います。仕事も手につかず、同じ境遇の先輩同士で、さまざまな話をされていました。

私は、その輪の中に入ることはできませんでした。

かける言葉も見つからず、ただ遠くから見守ることしかできなかったのです。

同じ目標に向かって開発に取り組んできたチーム。

その一体感が、会社の経営施策のもとで、あっけなく崩れていく――。

私は、チームの空気が少しずつ変わっていくのを感じました。


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